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『さらば愛しき女よ』 [ハードボイルド]


さらば愛しき女よ (ハヤカワ・ミステリ文庫 (HM 7-2))









『さらば愛しき女よ』/レイモンド・チャンドラー  ハヤカワミステリ文庫

Kindle版電子書籍にて

高校生の頃からもう何回読んだかわからない。




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前科者大鹿マロイは、出所したその足で以前別れた女を捜し始めたが、
またもや殺人を犯してしまった。たまたま居合せた私立探偵マーロウは、
警察に調べられる。その後彼はある事件を依頼された……。
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チャンドラーはもちろんボクのフェイバリットで中でも
『長いお別れ』とこの作品は格別だ。

※長いお別れ
http://www007.upp.so-net.ne.jp/bump/book/goodbye_1.html


文庫本がたぶんそれぞれ3冊ずつくらいはある。
読み返してぼろぼろになったから、また買いなおしたり
装丁が新しくなったから、とまた買ってみたり。。
『長いお別れ』(The Long Good-bye)は読めもしないのに
ペイパーバックまで持ってる。
友だちに薦めるために買ったこともあった。
あ、ついでに
『マーロウのダンディズム』これもオススメしたい
http://bumps.blog.so-net.ne.jp/2006-11-29

長いお別れは、いつぞやの村上春樹の愚訳の際に読み返したのが
いちばん新しいか。。
http://bumps.blog.so-net.ne.jp/2007-05-11

が、この『さらば愛しき女よ』は『長いお別れ』と双璧をなすくらい
好きなのに、最後にいつ読んだか思い出せないくらい読んでなかった。

そんな折り、Kindleの電子書籍版が目にはいった。
いくつかをダウンロードするついでにこれも買った。

・・・読み始めてすぐ、チャンドラーの素晴らしい世界が蘇ってくる。
途中からバーボンをついで飲みながら一気に読んだ。
見たこともないヴェルマを血眼で探し続ける大鹿マロイがフロリアンの店の
階段をあがる様子が瞼の裏に浮かんで来る。

「あいてぇんだ」



ただ、ひたすらマロイは会いたかったんだよね。
そしてそんなマロイをマーロウもそうとはなく憎めないでいた。

幕引きは切ないものだったがマロイはあれでいっぱい幸せだっただろうと思う。

まさに結城昌治の『炎の終わり』の台詞



「死んだって消えない愛がある。そのために自分を滅ぼしてしまうものもいる」


の世界だ。



ちなみに、先に“見たこともない”と書いたけれど、正確にはこの作品は映画化
されているので本当は観ている。
主演はロバート・ミッチャムでこれがまた渋い。

マーロウはかのハンフリー・ボガードをはじめ何人かが演じているが
ボク的にはこの作品のロバート・ミッチャムが一番好きだ。

一人称単数を基本とするハードボイルドの語り口を守るように
ロバート・ミッチャムの語りで進行する物語はその場末感と相まって
たまらない魅力を醸し出している。

・・あぁ、映画もひさしぶりに観たいな・・・。


VHSで持ってたんだけど



で、しばらくぶりにこの作品を読み返していて思い浮かんだ歌がある。

名作『Jasmin』に前田たかひろ先生が歌詞をリメイクした怪作、


『Jasmin Again』

http://www.youtube.com/watch?v=KF5beoQApkw



あいてぇな、おまえに・・・
ものすごくあいてぇな・・

逃げ出した女・・
狂った男・・



どうです。


まさにマロイ・ワールドじゃありませんか。

それを思いながら曲をもう一度聴きかえすと・・。
寒いぼがたちます。


ジャージーな場末感もまさに、という雰囲気だ。













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