『バーニング・ワイヤー』 [ジェフリー・ディーバー]
『バーニング・ワイヤー』Burning Wire / ジェフリー・ディーバー
文藝春秋
人を殺すのに必要な電気量。。。それは100mA。
1Aの10分の1。
0.1A、たったそれだけの電気で私たちの心臓は止まる。。。
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突然の閃光と業火―それが路線バスを襲った。送電システムの異常により、
電力が一つの変電所に集中、爆発的な放電が発生したのだ。死者一名。
これは事故ではなかった。電力網をあやつる犯人は、ニューヨーク市への送電を
予告なしに50%削減することを要求する。だがそれはNYに大停電を引き起こし、
損害は膨大なものとなると予想された。FBIと国土安全保障省の要請を受け、
科学捜査の天才リンカーン・ライムと仲間たちが捜査に乗り出した。
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A(アンペア)に馴染みがなければ、1A=100Wだと単純に計算すると
10W。これだけで人を殺す事ができる。
自国の原発事故を思い出さずにはいられない送電危機。
電気というもの、その気になれば恐ろしく華麗に人を殺めることができそうで恐ろしい。
四肢麻痺の天才捜査官リンカーン・ライムの最新作。第9作だ。
最近、電子書籍ばかり買いあさっていてライムの新作を見逃していた!
こんどの敵は電気を知り尽くし、それを駆使して巧妙な罠をしかけてくる。
また一方で宿敵とも言える天才犯罪者ウォッチメイカーの足跡を追う話も並行して
進んで行く。
おなじみカリフォルニア捜査局のキャサリン・ダンスも登場し、ライムはウォッチメイカー
追いつめて行く。
いつもどおりの科学捜査は今回、やや影を潜める。
いや、潜めるというよりは・・・。
宿敵・ウォッチメイカーの登壇といい、ライムの心情といい、シリーズの集大成とも
思える。
次巻があるとして。。。
ライムはどうなっているのだろう。そしてルーキーは・・・。
いろいろと気にさせてくれるシリーズであるが、初期の頃の衝撃を維持するのは
もちろん難しい。難しい中、これだけのテンションを保てているのは
まさに驚異であると言うほかない。
★★★★☆