『ワールド・ウォーZ』 [ゾンビ]
『ワールド・ウォーZ』
2013年(米)
★★★☆☆
監督:マーク・フォースター
出演:ブラッド・ピット/デデ・ガードナー
ジェレミー・クライナー/イアン・ブライス
ひとことで言うと
「ブラピ主演の盛大なゾンビ映画」
だ。
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その日、ジェリー(ブラッド・ピット)と妻、2人の娘を載せた車は渋滞にはまっていた。
一向に動かない車列に、これがいつもの交通渋滞でないことに気付くが、
次の瞬間、背後から猛スピードで暴走するトラックが迫ってくる。
必死で家族を守り、その場から逃げだしたジェリー。
全世界では爆発的に拡大する“謎のウイルス"によって感染者は増加し続け、
大混乱に陥っていた。
元国連捜査官として世界各国を飛び回ったジェリーに事態を収束させるべく任務が下る。
怯える家族のそばにいたいという思いと、世界を救わなければならないという使命の狭間で、
ジェリーは究極の選択を迫られる。
感染の速度は加速する一方で、人類に残された時間はわずかだった―。
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ツッコミどころはもちろん満載だがいちいち言わないでおく。
いかに過去、世界各国を飛び回っていたとはいえ、主人公にそれほどの
力があるとも思えない・・・なんて言っても仕方ないので言わない。
救世主になるはずの学者があっさり逝きすぎだとか・・・それも言っても仕方がない。
ラストも「これでいいのか・・・」的なオチだが、それも言わないでおく。
そもそも解決したのか?と思わせるラストだが・・・。
とにかく今作でのゾンビの見どころというのはその「量」だ。
人垣のごとく人の上に(ゾンビだが)の上に人が乗り(ゾンビだけどね)
その上にまた人が(みんなゾンビだ)・・・で塀を乗り越えるシーンは圧巻。
まさに世紀末感いっぱい。
どうなってしまうのか・・・とハラハラしてると後半は、打って変わったように
静かな展開。
そのコントラストも狙いなのか、それとも当初のラストはもう少し派手なドンパチな
エンディングを検討していたらしいから前半で予算を使いすぎたのか。
「ゾンビ映画好き」だと言うと「ホラー」や「スプラッター」と混同されがち
なのだが、本質は多いに違う。
ゾンビ映画の魅力はその「終末感」であり「絶望からの脱出」にある。
ゾンビそのものの魅力とは、死者の身体にちしぶきをたてて食らいつくその様で
はなく、その「生命観のない生体」にある。
まさしく「アンデッド」。
この作品ではゾンビそのものにはまったくスポットがあてられていない。
そのかわりにものすごい質量で「絶望」を見せる。
主人公=ブラピが答えにたどりつくまでのゲーム・ムービーであり、
それに「家族愛」を絡めた無難な作りになっている。
これではブラピである(ブラピがやる)必要はないように思う。
まぁわざとゾンビオタクを排除しているのなら仕方がないけど、
やっぱりゾンビは走っちゃいかんと・・・・思う。
そのうち、ネットをあやつるサイバーゾンビとか出てきそう。
普通に会話したりして。
いっそそういうのも面白いか。